5月15日付「毎日新聞」
ストップ自殺:対策の法制化を市民団体が要望

 自殺問題に取り組む市民団体が15日、東京・永田町の参院議員会館で、超党派の国会議員に対し、自殺対策の法制化を求める要望書を手渡した。自殺者が8年連続で3万人超になる見通しの中、法的根拠のない対策は掛け声だけで終わりかねないと訴えた。議員側は会見し、自殺を社会問題と位置づけ、国や自治体の責務を明記した「自殺防止対策基本法案」(仮称)の大綱案を明らかにして「今国会中に法案を成立させたい」と話した。
 超党派でつくる「自殺防止対策を考える議員有志の会」(事務局は武見敬三参院議員=自民=と山本孝史参院議員=民主)の初会合に市民団体が招かれた。要望書はNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都・清水康之代表)など全国22の市民団体が連名でまとめた。
 要望内容は▽国として自殺対策に取り組む意思を法律で示す▽効果的な予防策のために自殺の実態を調査し把握する▽個人だけでなく社会を対象とした総合対策を実施する――などとしている。
 一方、議員有志の会がまとめた大綱案は「自殺は、個人の問題のみに帰せられるべきものではなく、個人を取り巻く社会にかかわる課題である」などと自殺を社会問題と位置づけ、国と自治体、事業主、国民の責務を明らかにするとしている。
 議員有志の会のメンバー、尾辻秀久・前厚生労働相は「自殺者が年間3万人いるのは、どこか、わが国に病んだところがあるのではないか」と話した。【玉木達也】