5月2日付「毎日新聞」
ストップ自殺:重松清さん「社会で救うこと、大切」 法制化に賛同の輪

◆3万人署名目指す
 社会的に追い詰められた末の自殺を減らそうと、自殺対策基本法(仮称)の制定を目指す署名活動に、全国の市民団体や有識者らの賛同の輪が広がっている。活動を呼びかけたNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)は今月中に3万人の署名を集める予定。法制化で自殺対策を国と自治体の責務とし、98年から7年連続で自殺者が3万人を超えている状況の抜本的な改善を求めていく。
 ライフリンクによると、賛同団体は「東京自殺防止センター」や「親の自殺を語る会」(大阪府)、「心といのちを考える会」(秋田県)など17団体に上る。直木賞作家の重松清さんや野田正彰・関西学院大教授、姜尚中・東京大教授、映画監督の滝本智行さんらが名乗りを上げている。
 重松さんは「20代のころに友人を自殺で亡くし、人ごとではないという思いがある。自殺者が7年連続で3万人を超える今、不幸な例外というには、あまりにも人数が多い」と賛同。法制化について「自殺防止への取り組みは、個人の善意や頑張りで支えられている。命は個人的なものとはいえ、社会全体で救うことが大切だと思う。しっかりとした法律で裏づけをし、社会的問題として向き合う必要があるのではないか」と指摘している。 【玉木達也】