法制化を求める「3万人署名」活動をふり返って

    (敬称略)
最後の1週間でドーンと
事務局泣き笑い
(事務局:藤澤克己)
     
自殺対策法署名運動の現場から
◆修学旅行の中高生が
(京都:石倉 紘子)
  ◆雨空の下耳傾けて
(福岡:井上 久美子)
  ◆温もりの商店街で
(東京:斉藤 勇輝)
  ◆これぞご近所の底力
(茨城:南部 節子)
     
署名に寄せて1000通超すお手紙

(千葉県、女性)
 
(東京都、女性)
 
(山形県、男性)
 
(神奈川県、女性)




最後の一週間でどーんと

事務局泣き笑い
(事務局:藤澤克己)
10155人分の署名の束  今、振り返ってみると、たくさんの署名が集まったものだなあ、それぞれの思いを持った人がやっぱりこんないたんだなあと、ある意味感慨深いのですが、そのころはもうハラハラものでした。
 「3万人署名」が始まったのは4月17日。1か月半という短期間に集めるという例によってライフリンクらしい突然のプロジェクト。会のメーリングリストに、清水康之代表が「3万人署名」の構想を初めて持ち出したとき、誰もがびっくり。しかし、これもライフリンクらしい反応がありました。「できる、できないじゃなくて、『やろう』という発想が素晴らしい」と。
 で、さっそく作戦会議。@広く署名活動を知ってもらうためマスコミに報道してもらうA組織票を見込める団体に働きかける―の二点を柱に展開することにしました。
 報道されると、その直後から事務所には問い合わせの電話がひっきりなしにきました。「署名したいので、どうすればいいか教えて欲しい」「どこへ行けば署名できるのですか」「私にも協力させて下さい」……。
 しかし団体は、「こういうことは理事会に諮らないと組織としては動けません。1か月早く言ってくれれば協力できたのに」。どこも賛意を表しながらも、なかなか積極的には動いてくれません。 やがて5月に入ると署名した封書が連日届くようになり、100人分の署名をクリップで留め、それを10個重ねてひもで縛り、千人分の束を作っていきました。
 とはいえ、3万人というと、これが30束なければなりません。締め切りまで2週間というころ、票読みの手配をみなさんにしました。どう見積もっても2万人にやっと届くか届かないかという状況に追い込まれていました。
 ならばと、5月13日の全国一斉街頭署名活動に続いて、「もう一度、街頭署名を」と呼びかけました。それでもまだ、「3万人」は見えてきませんでした。
 ところが、確か5月30日だったと思います、「3万人」がやっと実感できたのです。まさに「ドサッ」と表現できる署名が、この日から立て続けに届いたのです。千人の束が30、31、32とどんどん増え、最終的には101束を数えるに至ったのです。1週間後の6月7日、扇千景参院議長に提出しました。
 この間、千通ものお手紙もいただきました。拝読しながら胸が熱くなりました。
 署名活動の事務方の責任者として非力でしたが、おかげさまでたくさんの人とつながることができ、自分自身も成長できたと思います。どうもありがとうございました。




自殺対策法署名運動の現場から

 ライフリンクでは、自殺対策の法制化に向けて、賛同団体と一緒になっての「全国一斉署名活動」を5月13日に展開した。秋田駅前、東京・新宿駅西口、神奈川・横須賀中央駅前広場、京都・四条河原町、福岡・天神、佐賀駅南口……。各地の「その日」を報告する。
新宿駅西口で 新宿駅西口で 新宿駅西口で 新宿駅西口で
◆修学旅行の中高生が 
(京都:石倉 紘子)
 「3万人署名なんて、ほんとうに達成できるのかな」。そんな不安を抱きつつ、京都の街頭署名はこの地で最もにぎやかな河原町で始まりました。
 結集メンバーを見て、心配は吹っ飛びました。福井県・東尋坊から「NPO心に響く文集・編集局」の茂幸雄さんと川越みさ子さんがはせ参じてくれ、それに立命館大学のサークル、自主ゼミの面々、さらに地元の「いのちの電話」の方など、なんと19人に膨らみ、がぜん勢いづいたのです。
 河原町では高島屋近辺が工事中でやりにくかったですが、そこは茂さんと川越さん。工事中の柱の影に、通りがかりの人を呼び込んでは、持ち前の粘り強さと説得力でていねいに署名の趣旨を訴えてくれました。
 阪急百貨店前では、立命館の学生さんが良く通る声で呼びかけ、みんなの耳を奪いました。
 そうそう、ほろ酔い加減のおじさんから「自殺はいけん。1万円あったら死なんですむんか」と、お札を出されそうになったときはちょっとぐっと来ました。
 それに、修学旅行に来ている中学生、高校生が一生懸命に署名してくれたのが印象的でした。観光都市「京都」ならではの光景。
 この署名活動は、地元の新聞やテレビで報道され、それが5月24日からの「5日間連続街頭署名」で新たな出会いをもたらしてくれました。テレビで知った「あしなが育英会」の関西地区の皆さんがやってきてくれたのです。
 意気投合し、私が自分でビデオ録りした「自殺っていえなかった」の上映会を秋には開催しようという計画ができました。署名活動は次の運動への歯車にもなったのです。


◆雨空の下耳傾けて
(福岡:井上 久美子)
 

前日から降り続く大粒の雨。でも、街頭署名を始めるころにはどうやら上がり、福岡・天神を行き交う人の群れにも快活さが戻ってきました。
 「年間自殺者3万人、この数字は社会的な対策を講じることで防ぐことができます」私たちが訴えるこの言葉に、多くの人々が足を止め、耳を傾けてくれました。
 署名のあと手を差し伸べ握手を求められる方、「頑張ってくださいね」と声を掛けてくださる方、学校帰りのカバンを提げたまま、チラシを配ってくれた女子高校生たち……その一人ひとりの心の中に、きっと「他人事ではない」という思いがあったのでしょう。
 ちょっと離れた場所から、私を手招きした男性がいました。ちょうど目が合ったのです。彼はおもむろに「どうして自殺をしたくなるかわかるかね」と語りかけてきました。
 思いがけない問いかけに口ごもってしまった私に、その男性は「寂しいからだよ、孤独だから、人は死にたくなるのだよ」と言いながら、署名のペンを握られました。
 「私たちはライフリンクでつながっている」「全国に同じ志をもった仲間たちがいる」。そのことに安堵(あんど)を覚え、さらなる活動のエネルギーへとつなげることができます。法律によって、官民を問わずみんながつながり、孤独や孤立から抜け出すことができる。そんな世の中がやって来ることを祈りながら、「3万人署名」を訴えました。



◆温もりの商店街で
(東京:斉藤 勇輝)
 ◆温もりの商店街で
 「うーん、ちょっと芳しくないな」。5月13日の「全国一斉街頭署名」では新宿駅西口でやりましたが、雨にもたたられ、これでは3万人署名は難しいというところに追いつめられてしまいました。
 「集まらないなら、集めるしかない」「待っているより、行動するしかない」「私たちが動かなければ始まらない」
 で、27日、賛同団体である「自殺対策防止センター」「生と死を考える会」と一緒に、まず午前中、ライフリンクの事務所に近い神楽坂商店街で街頭署名の再挑戦に乗り出しました。「できることは、すべてやろう」「私たちがこの国の自殺対策をつくりあげるんだ」という思い詰めた心情でした。
 午後は荒川区の熊野商店街に移動しました。まだ、道路上を都電荒川線が走る下町情緒の香る商店街です。ここでは、なんと商店街の理事長さんが協力を買ってでてくれました。お店に飛び込んで、理事長さんのお名前を出して趣旨を話すと、みなさん、二つ返事で署名してくれました。とても、ありがたかったです。
 この日に限れば結果は91人でした。確かに3万人の署名の中では非常に小さな数かもしれませんが、参加メンバーにとっては、なんとも温もりを感じさせられた充実の一日でした。


◆これぞご近所の底力
(茨城:南部 節子)

 「なあに、100人がひとり300人ずつ集めれば3万人」と簡単には言ったものの、よくよく吟味すれば3万とはすごい数字だなと圧倒されて始まった署名活動。これだけの人が毎年亡くなっているのかと、その重さにもつぶされる思いでした。
 わずか1か月半で集められるだろうかと、気は焦れどもなかなか動けず、一斉街頭署名も終わったころからやっと近所に署名用紙を配り始めました。知っている団体にも手紙を送りました。
 5月も半ば過ぎだったでしょか、10年間活動してきた生活クラブ生協の仲間のところへ「実は個人的なことなんだけど署名をお願いしに来たの」と出かけていきました。すると、「知ってるわよ、これでしょ。うちの近所の分だけだけど」と、すでに署名した用紙を数枚渡されました。表現しようのない感情に見舞われ、私は絶句してしまいました。
 それからでした、毎日のように家のポストに署名がつづられた紙が、1枚、2枚と入っているのす。夕方、インターホンが鳴って出てみると、「○○さんから頼まれて書いて持ってきたよ」。「テレビで見たよ、20枚ほどもらいに行くから」とか、なんと自分が動かずとも署名が続々と集まってきたのです。
 最終的に927人分が私の手元にありました。「ありがとうございます」。ほかに言葉が見つかりません。





署名に寄せて1000通超すお手紙

 署名活動の期間中、ライフリンク事務所には1000通を超す手紙が寄せられました。そのなかから ご本人の承諾をいただいた4通を紹介します。
 
(千葉県、女性)
 前略 「3万人署名」に心より賛同します。
 私の娘は平成14年5月に自殺しました。私自身も10年程前から「うつ病」で、自殺企図も3回あります。手のひらいっぱいの薬をのせ、片手で「いのちの電話」にダイヤルして、何度かけても話し中のツーツーツーという音に絶望した日の事を今でも忘れられません。そして娘を救う事のできなかった事で、今でも自責の念でいっぱいです。
 年間3万人以上ともいわれる自殺者、その一人一人にそれぞれの理由があり、悲しみ、苦しみがあります。また、その数倍もの遺族のつらさがあります。
 私たち家族は心を込めて名前を書きました。知人にもたのんで署名を集めているところです。たくさんの署名が集まる事を祈っています。ライフリンクの皆様よろしくお願いします。


(東京都、女性)
 貴重な支援の輪が大きくひろがりますようお祈りしております。夫婦のみの署名ですがよろしくお願いいたします。これからも心がけて参ります。


(山形県、男性)
 私は、大切な姉を自殺という形で死なせてしまいました。ああすればとか、こうしておけばなどの思いでいっぱいでした。
 そんな時、ライフリンクのサイトを見つけ、自分と同じ悩みで苦しむ人が同じ考えで(いることを知り)、自分も少しは楽になりました。
 もし、助けを求める人がいて、助けたいと思う人がいるのなら協力せずにはいられません。
 私の姉に何もしてあげられなかったことが、今は他人に協力することで姉も喜ぶのならと思い、ペンを取りました。
 1人でも、私と同じ苦しみを持つ人がいなくなりますように。がんばって下さい。


(神奈川県、女性)
 1人分しか書けず申し訳ないです。でも他の人に、書いてと言う勇気もなく。
 私は 死の縁から帰りました。今、新しい命を生きています。だから、もっとたくさんの人に、この新しい命を得てほしい、そう祈っています。