最後の一週間でどーんと
自殺対策法署名運動の現場から
前日から降り続く大粒の雨。でも、街頭署名を始めるころにはどうやら上がり、福岡・天神を行き交う人の群れにも快活さが戻ってきました。 「年間自殺者3万人、この数字は社会的な対策を講じることで防ぐことができます」私たちが訴えるこの言葉に、多くの人々が足を止め、耳を傾けてくれました。 署名のあと手を差し伸べ握手を求められる方、「頑張ってくださいね」と声を掛けてくださる方、学校帰りのカバンを提げたまま、チラシを配ってくれた女子高校生たち……その一人ひとりの心の中に、きっと「他人事ではない」という思いがあったのでしょう。 ちょっと離れた場所から、私を手招きした男性がいました。ちょうど目が合ったのです。彼はおもむろに「どうして自殺をしたくなるかわかるかね」と語りかけてきました。 思いがけない問いかけに口ごもってしまった私に、その男性は「寂しいからだよ、孤独だから、人は死にたくなるのだよ」と言いながら、署名のペンを握られました。 「私たちはライフリンクでつながっている」「全国に同じ志をもった仲間たちがいる」。そのことに安堵(あんど)を覚え、さらなる活動のエネルギーへとつなげることができます。法律によって、官民を問わずみんながつながり、孤独や孤立から抜け出すことができる。そんな世の中がやって来ることを祈りながら、「3万人署名」を訴えました。
「なあに、100人がひとり300人ずつ集めれば3万人」と簡単には言ったものの、よくよく吟味すれば3万とはすごい数字だなと圧倒されて始まった署名活動。これだけの人が毎年亡くなっているのかと、その重さにもつぶされる思いでした。 わずか1か月半で集められるだろうかと、気は焦れどもなかなか動けず、一斉街頭署名も終わったころからやっと近所に署名用紙を配り始めました。知っている団体にも手紙を送りました。 5月も半ば過ぎだったでしょか、10年間活動してきた生活クラブ生協の仲間のところへ「実は個人的なことなんだけど署名をお願いしに来たの」と出かけていきました。すると、「知ってるわよ、これでしょ。うちの近所の分だけだけど」と、すでに署名した用紙を数枚渡されました。表現しようのない感情に見舞われ、私は絶句してしまいました。 それからでした、毎日のように家のポストに署名がつづられた紙が、1枚、2枚と入っているのす。夕方、インターホンが鳴って出てみると、「○○さんから頼まれて書いて持ってきたよ」。「テレビで見たよ、20枚ほどもらいに行くから」とか、なんと自分が動かずとも署名が続々と集まってきたのです。 最終的に927人分が私の手元にありました。「ありがとうございます」。ほかに言葉が見つかりません。
署名に寄せて1000通超すお手紙