【重大報道】民間団体へ国が「直接」補助金

9月21日、毎日新聞夕刊のトップ記事として重大な報道がされました。
ライフリンクの今後の活動、ひいては存続そのものに関わる重要な内容ですので、
ここに記事を紹介し、ライフリンクとしての見解をお伝えします。

◎新聞報道紹介 : 厚労省:民間団体に異例「直接」補助金 自殺・虐待防止で

◎ライフリンク見解 : 新聞報道に関連して〜ライフリンク財務報告〜




◎新聞報道紹介:
厚労省:民間団体に異例「直接」補助金 自殺・虐待防止で
( http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20060921k0000e010076000c.html )

 厚生労働省は、自殺予防や児童虐待防止など深刻な福祉問題に地域で先駆的に取り組んでいる民間団体や自治体を支援する補助金事業を、来年度から創設する方針を決めた。省内に有識者も交えた選定委員会を作って申請内容を審議し、対象を決める見通し。国が最前線で活動する民間団体を直接支援するのは珍しく、厚労省は、この事業を有効な対策への情報収集にもつなげ、国の施策に民間団体の活動内容を反映させたい考えだ。

 同省が創設するのは「地域福祉等推進特別支援事業」で、対象団体の事業費を補助する。補助率は自治体は半分、民間団体は全額の方向で、支援事業の総額や補助金の上限額なども含め、今後財務省と調整する。

 補助の対象となるのは「今日的な問題」で▽昨年まで8年連続で自殺者が年間3万人を超え、6月に自殺対策基本法が成立した自殺問題▽児童相談所が対応(処理)した件数が05年度は3万4451件(速報値)に達し、過去最多を更新した児童虐待問題▽高齢者を狙った悪質なリフォームや多重債務者への相談事業▽孤独死の防止事業−−などが考えられている。

 NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)の清水康之代表は「民間団体では活動の財源と情報発信力が課題になっている。今回の事業はそれらを解決することにつながる」と期待する。

 厚労省地域福祉課は「補助金を出して終わりにせず、効果的と判断した事業は、全国で展開できるように国の施策として取り入れたい」としている。【玉木達也】

毎日新聞 2006年9月21日 15時00分




◎ライフリンク見解 :
新聞報道に関連して〜ライフリンク財務報告〜

まずはこちらのライフリンク収支報告をご覧ください。
注目していただきたいのは、収入の中に国や自治体からの「助成金」「事業委託金」などが一切ないこと。そして支出の中に「人件費」が、やはり一切ないことです。

  平成16年度(〜H17/3) 平成17年度(〜H18/3)
収入の部
会費
\805,000
\795,000
寄附金
\0
\1,720,000
民間助成金
\300,000
\2,580,000
自治体助成金
\0
\0
自治体委託事業
\0
\0
講習会開催(経費)
\0
\913,000
前期繰越金
\0
\342,000
収入計
\1,105,000
\6,350,000
支出の部
シンポジウム開催
\240,000
\2,124,000
ホームページ開設
\180,000
\300,000
講習会開催
\0
\889,000
ニューズレター発行
\0
\240,000
役員報酬・人件費
\0
\0
通信費・交通費
\72,000
\473,000
消耗品費
\39,000
\238,000
資料費・雑費
\15,000
\583,000
私書箱レンタル費
\29,000
\0
会議費
\8,000
\122,000
事務所家賃
\180,000
\736,000
支出計
\763,000
\5,705,000
収支差額
次期繰越
\342,000
\645,000


ライフリンクは、これまで日本の自殺対策の「つなぎ役」として、自殺対策基本法の成立や自殺対策に関する啓発活動、自死遺族支援や地域における自殺対策ネットワークの立ち上げなどに尽力してきました。
例えば「WHO世界自殺予防デー」に自殺対策の関係者(官民学の)を集めてフォーラムを開いたり、社会全体で共有すべき自殺総合対策のグランドデザインを考えて提示したり、地方自治体に自殺対策ネットワークに関する情報を提供したりと、現場から日本の自殺対策を牽引してきたという自負もあります。

しかし、それはこれまで自殺対策が国の事業として位置づけられていなかったために、そうせざるを得なかったということです。国がやらなかったし、自治体もやらなかった。国や自治体がやらないから、自殺対策が社会貢献事業として認められることもなく、民間企業や財団等も自殺対策を助成することはほとんどなかった。自殺対策基本法が成立するつい最近までは、自殺対策は民間のボランティア任せになっていたのです。

ですから、ライフリンクの財政基盤も非常に脆弱なまま、私たちは身銭を切って生活を支えながら活動してこざるを得ませんでした。(現在も、その状況は続いています。)
一日90人以上が自殺で亡くなっているという「待ったなし」の状況の中で、「やらなければならない対策」「やれる対策」もたくさんある。それが分かっていながら、何もやらないで黙って見過ごしていることはできない。国がやらないことに対して文句を言っているだけでは何も始まらない。そう考えて、やるべきこと・やれることをひとつひとつ確実に実行に移し、同時に、国や自治体に自殺対策に取り組ませるよう法制化を目指すなどの働きかけをしてきたのです。

いま、少しずつ国や自治体が自殺対策に取り組みはじめ、そのコストの一端を負担しようとし始めていることを、だから私たちは歓迎しています。
自殺対策は、広い意味では社会作りです。自殺に追い込まれていく人をひとりでも減らしていくこと。それは、私たちにとって「生き心地の良い社会」を築き上げていくことに他なりません。
今回の記事で紹介されているような試みが行政の中で進んでいくよう、私たちも強く要望していきます。そのためにも、引き続き自殺対策の現場を牽引していく覚悟です。

2006年9月21日
ライフリンク代表 清水康之